「痩せてきれいになりたい」という願望は多くの女性が持っているものですが、間違ったダイエットが髪の毛にとって致命的なダメージとなり、びまん性脱毛症を引き起こす最大の原因の一つになっていることをご存知でしょうか。私たちの体は、生命維持に必要な臓器(脳や心臓など)へ優先的に栄養を送るようにプログラムされています。髪の毛や爪といった末端の組織は、生命維持には直接関係がないため、栄養供給の優先順位は最も低く設定されています。つまり、食事制限によって栄養不足に陥ると、体は真っ先に髪への栄養をカットしてしまうのです。特に問題となるのが、糖質制限や単品ダイエットによる「タンパク質不足」です。髪の毛の約九割はケラチンというタンパク質で構成されています。材料となるタンパク質が入ってこなければ、当然ながら丈夫な髪を作ることはできません。また、亜鉛や鉄分といったミネラルも、髪の生成には不可欠です。特に生理のある女性は慢性的な鉄欠乏性貧血になりやすく、そこにダイエットが重なると、毛根は酸欠と栄養失調のダブルパンチを受けることになります。こうして作られた髪は細く脆くなり、少しの刺激で抜け落ちやすくなってしまいます。さらに恐ろしいのは、急激な体重減少が体に与えるストレスです。短期間で大幅に体重を落とすと、体は飢餓状態という危機的状況だと認識し、ホルモンバランスを崩して生理を止めてしまうことがあります。前述の通り、女性ホルモンの減少は薄毛に直結します。ダイエットによって一時的に体重は減ったとしても、その代償として髪が薄くなり、肌がボロボロになり、生理不順に悩まされるのでは、本来目指していた「美しさ」とは程遠い結果になってしまいます。しかも、ダイエットによる脱毛症(休止期脱毛)は、ダイエットを始めてから数ヶ月後に遅れてやってくることが多く、原因がダイエットにあると気づきにくいという特徴もあります。一度栄養失調によってスカスカになった髪が元に戻るまでには、長い時間がかかります。びまん性脱毛症を予防し、美しい髪を保つためには、バランスの取れた食事が絶対に欠かせません。もしダイエットをするのであれば、カロリーだけを減らすのではなく、髪の原料となるタンパク質、ビタミン、ミネラルはしっかりと確保し、月一キロ程度の緩やかなペースで行うことが鉄則です。
過度なダイエットが引き金になるびまん性脱毛症の恐怖