失敗しない薄毛治療

2019年1月
  • 甲状腺機能低下症(橋本病)と薄毛髪質の変化

    かつら

    甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌が不足する状態を指し、その代表的な疾患が「橋本病(慢性甲状腺炎)」です。橋本病も自己免疫疾患の一つで、自分の免疫システムが誤って甲状腺組織を攻撃し、慢性的な炎症を引き起こすことで、甲状腺の機能が徐々に低下していきます。甲状腺ホルモンは全身の新陳代謝をコントロールしているため、その分泌が不足すると、体の様々な機能が低下し、髪の毛にも特徴的な変化が現れることがあります。甲状腺機能低下症による薄毛は、甲状腺機能亢進症とは異なる特徴を示します。まず、髪の毛が乾燥してパサパサになり、ツヤが失われ、もろく切れやすくなるのが一般的です。また、髪の成長が遅くなり、新しい髪が生えにくくなるため、全体的に髪のボリュームが減少し、びまん性の脱毛が見られます。特に、眉毛の外側3分の1が薄くなるのは、甲状腺機能低下症に比較的特徴的な所見とされています。髪の毛だけでなく、皮膚も乾燥しやすくなり、カサカサしたり、冷たく感じられたりすることがあります。爪も厚くもろくなったり、割れやすくなったりすることがあります。橋本病の主な症状としては、薄毛や髪質の変化以外にも、無気力、疲労感、倦怠感、体重増加(食欲は低下するにもかかわらず)、むくみ(特に顔やまぶた)、寒がり、便秘、声のかすれ、記憶力や集中力の低下、動作緩慢などが挙げられます。これらの症状はゆっくりと進行することが多く、本人も気づきにくい場合があります。もし、原因不明の薄毛や髪質の変化とともに、これらの全身症状がいくつか見られる場合は、橋本病などの甲状腺機能低下症を疑い、内科や内分泌内科を受診することが大切です。診断は、血液検査で甲状腺ホルモン(FT4)や甲状腺刺激ホルモン(TSH)、自己抗体(抗サイログロブリン抗体、抗TPO抗体)の値を調べることで行われます。甲状腺機能低下症と診断された場合、治療は主に甲状腺ホルモン薬(レボチロキシンナトリウムなど)の内服によるホルモン補充療法が行われます。適切な量の甲状腺ホルモンを補充することで、甲状腺ホルモンの値が正常化し、薄毛や髪質の変化を含む全身症状も徐々に改善していくことが期待できます。こちらも、髪の改善には時間がかかることを理解しておく必要があります。

  • 後頭部のはげが気になったら皮膚科へ行くべき理由

    AGA

    「最近、後頭部の髪が薄くなってきた気がする」「合わせ鏡で見たら、後頭部の地肌が透けて見える」など、後頭部のはげに気づいた時、どうすれば良いか悩む方も多いでしょう。市販の育毛剤を試してみたり、ヘアケアを変えてみたりするのも一つの手ですが、最も確実で効果的な第一歩は、皮膚科や薄毛専門クリニックを受診することです。なぜなら、後頭部のはげの原因は多岐にわたり、自己判断では適切な対処が難しいからです。皮膚科を受診する最大のメリットは、「正確な診断」を受けられることです。医師は、問診や視診、マイクロスコープを用いた頭皮の状態確認などを行い、あなたの後頭部のはげが何によって引き起こされているのかを医学的に判断します。考えられる原因としては、脂漏性皮膚炎、接触性皮膚炎、円形脱毛症、牽引性脱毛症、あるいはAGA(男性型脱毛症)が広範囲に進行しているケース、さらには甲状腺疾患などの内科的な病気が隠れている可能性も否定できません。これらの原因によって、治療法や対策は全く異なります。例えば、脂漏性皮膚炎であれば抗真菌薬やステロイド外用薬、円形脱毛症であればステロイド治療や紫外線療法、AGAであればフィナステリドやミノキシジルといった専門的な治療が必要になります。自己判断で市販の育毛剤を使用しても、原因に合っていなければ効果は期待できませんし、場合によっては症状を悪化させてしまうことすらあります。皮膚科では、診断に基づいて「適切な治療法」を提案してくれます。医師は、あなたの症状の重症度や進行度、ライフスタイルなどを考慮し、最も効果的で安全な治療プランを立ててくれます。また、治療の経過を定期的に診察し、必要に応じて治療法を調整してくれるため、安心して治療に専念できます。さらに、皮膚科では「専門的なアドバイス」も受けることができます。正しいシャンプーの選び方や洗髪方法、食生活や生活習慣の改善点、ストレスケアの方法など、薄毛対策に関する様々な情報を提供してくれます。これらのアドバイスは、治療効果を高めるだけでなく、薄毛の再発予防にも繋がります。後頭部のはげは、放置しておくと進行してしまう可能性があります。気になる症状があれば、できるだけ早く皮膚科を受診し、専門家の力を借りることが、悩み解決への最も確実な道筋となるでしょう。

  • 私の前頭部が気になり始めた日からの記録

    AGA

    「あれ、なんだかおでこが広くなったような…?」そう感じたのは、30代半ばを過ぎた頃でした。毎朝、鏡で髪をセットする際、以前よりも生え際が後退しているように見え、特にM字部分が気になり始めたのです。最初は気のせいだと思いたかったのですが、日を追うごとにその感覚は確信に変わり、次第に大きな悩みへと発展していきました。友人との会話中も、相手の視線が自分の前頭部に注がれているのではないかと不安になったり、風の強い日には髪型が崩れるのを極端に恐れたりするようになりました。大好きだったオールバックのヘアスタイルも、いつしか避けるようになっていました。このままではいけないと思い、まずはインターネットで情報を集めることから始めました。「前頭部 薄毛」「M字 対策」といったキーワードで検索すると、AGAという言葉や、様々な治療法、ケア方法に関する情報が溢れていました。正直、どの情報が正しくて、自分に何が合っているのか、最初は混乱するばかりでした。それでも、諦めずに色々な体験談や専門家の意見を読み漁り、少しずつ知識を深めていきました。そして、まずは自分でできることから始めようと決意し、生活習慣の見直しとヘアケアの改善に取り組みました。具体的には、バランスの取れた食事を心がけ、睡眠時間を確保し、ストレスを溜めないように適度な運動を取り入れました。シャンプーも、頭皮に優しいアミノ酸系のものに変え、洗い方やすすぎ方も丁寧に行うようになりました。さらに、育毛剤の使用も始めました。効果が出るまでには時間がかかると分かっていましたが、毎日欠かさず続けることを自分に課しました。最初の数ヶ月は、目に見える変化はほとんどありませんでした。しかし、半年ほど経った頃でしょうか、鏡を見た時に「あれ?以前よりM字部分の産毛が濃くなったような…?」と感じるようになったのです。それは本当にわずかな変化でしたが、私にとっては大きな希望の光でした。それからも地道なケアを続け、少しずつですが、前頭部の状態は改善に向かっているように感じています。もちろん、完全に元通りになるわけではないかもしれませんが、悩んで何もしなかった頃に比べれば、今の自分はずっと前向きです。