失敗しない薄毛治療

2022年11月
  • 40代以降の薄毛進行度と向き合い方

    かつら

    40代以降になると、多くの方が髪の変化をより一層意識するようになります。日本人男性のAGA(男性型脱毛症)の発症率は40代で約30%、50代以降では40%以上と、年齢とともに確実に高まっていきます。女性の場合も、更年期を迎えるこの時期に、女性ホルモンの減少に伴う薄毛(FAGAやびまん性脱毛症など)の悩みを抱える方が増えてきます。40代以降の薄毛は、ある意味で自然な加齢現象の一つと捉えることもできますが、その進行度合いや現れ方には個人差があり、適切なケアや治療によって進行を遅らせたり、見た目の印象を改善したりすることは十分に可能です。40代以降の薄毛と向き合う上で大切なのは、まず「現状を正確に把握すること」です。鏡で自分の頭皮の状態をよく観察したり、家族や美容師に客観的な意見を聞いたり、あるいは専門のクリニックで頭皮診断を受けてみたりするのも良いでしょう。薄毛がどの程度進行しているのか、どの部分が特に気になるのかを把握することで、具体的な対策を立てやすくなります。次に、「諦めずに専門医に相談すること」です。「もう年だから仕方ない」と諦めてしまうのではなく、皮膚科や薄毛専門クリニックを受診し、医師の診断とアドバイスを受けることをお勧めします。AGAやFAGAであれば、内服薬や外用薬による治療法があり、早期に開始することで進行を遅らせ、発毛を促す効果が期待できます。また、脂漏性皮膚炎や甲状腺疾患など、他の原因が隠れている場合は、その治療を行うことで薄毛が改善することもあります。そして、「生活習慣の見直しと継続」も非常に重要です。バランスの取れた食事、質の高い睡眠、適度な運動、ストレスケアといった基本的な生活習慣は、髪の健康を維持するための土台となります。特に40代以降は、体の代謝機能も低下しやすくなるため、若い頃以上に意識して取り組む必要があります。また、「適切なヘアケア」も心がけましょう。頭皮に優しいシャンプーを選び、正しい方法で洗髪し、頭皮マッサージで血行を促進することも効果的です。髪型やスタイリングを工夫して、薄毛を目立たなくすることも、精神的な負担を軽減する上で有効です。薄毛の悩みを一人で抱え込まず、信頼できる人に相談したり、同じ悩みを持つ人たちと情報を交換したりすることも、前向きな気持ちを保つために役立ちます。

  • サプリメントは育毛の味方?食事とのバランスを考える

    AGA

    育毛のためにはバランスの取れた食事が基本ですが、忙しい現代社会において、毎日完璧な栄養バランスを食事だけで摂取するのは難しいと感じる方も少なくないでしょう。そんな時、手軽に特定の栄養素を補給できる「サプリメント」は、育毛の心強い味方となり得るのでしょうか。結論から言うと、サプリメントはあくまで「栄養補助食品」であり、食事の代わりになるものではありません。しかし、食事だけでは不足しがちな栄養素を補う目的で、上手に活用するのであれば、育毛をサポートする効果が期待できる場合があります。育毛に関連するサプリメントとしてよく見かけるのは、「亜鉛」「鉄分」「ビタミンB群」「ビオチン」「ノコギリヤシ」「大豆イソフラボン」などでしょう。例えば、亜鉛は髪の主成分であるケラチンの合成に不可欠ですが、吸収率があまり高くないため、食事からの摂取だけでは不足しやすいミネラルの一つです。同様に、鉄分も特に女性は不足しやすいため、サプリメントでの補給が有効な場合があります。ビオチンも、皮膚や髪の健康維持に関わるビタミンとして注目されています。ノコギリヤシは、AGAの原因物質であるDHTの生成を抑制する効果が期待され、男性向けの育毛サプリメントによく配合されています。大豆イソフラボンは、女性ホルモン様作用を持つため、女性の薄毛対策サプリメントに含まれることがあります。しかし、サプリメントを利用する際には、いくつかの注意点があります。まず、「過剰摂取のリスク」です。特定の栄養素をサプリメントで過剰に摂取すると、体に悪影響を及ぼす可能性があります。特に脂溶性ビタミン(A、D、E、K)やミネラル類は、過剰摂取による副作用が報告されています。必ず製品に記載されている摂取目安量を守り、複数のサプリメントを併用する場合は、成分の重複にも注意が必要です。次に、「品質と安全性」です。サプリメントは医薬品とは異なり、製造基準や品質管理がメーカーによって異なります。信頼できるメーカーの製品を選び、成分表示や製造元などをしっかりと確認することが大切です。最も重要なのは、「食事とのバランス」です。サプリメントは、あくまでバランスの取れた食事を基本とした上で、不足分を補うものです。サプリメントに頼りすぎて、食事がおろそかになってしまわぬよう、まず自分の食生活を見直し、何が不足しているのかを把握することから始めましょう。

  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)と薄毛の関係

    AGA

    甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態を指し、その代表的な疾患が「バセドウ病」です。バセドウ病は自己免疫疾患の一つで、自分の免疫システムが誤って甲状腺を刺激する抗体を作り出し、その結果、甲状腺ホルモンが過剰に産生されてしまいます。甲状腺ホルモンは体の新陳代謝を活発にする働きがあるため、その分泌が過剰になると、全身に様々な症状が現れますが、髪の毛にも影響が及ぶことがあります。甲状腺機能亢進症による薄毛の特徴は、髪の毛全体が細く柔らかくなり、コシがなくなることです。また、髪の毛の成長サイクルが異常に早まるため、髪が十分に成長しきる前に休止期に入り、抜け落ちてしまう「休止期脱毛」が起こりやすくなります。これにより、全体的に髪のボリュームが減少し、びまん性の脱毛(広範囲にわたる脱毛)が見られることがあります。特定の部位だけが薄くなるというよりは、頭部全体の髪が均等に薄くなる傾向があります。また、髪質が変化し、以前よりも柔らかく、細くなったと感じる人も多いようです。爪がもろくなったり、剥がれやすくなったりする症状を伴うこともあります。バセドウ病の主な症状としては、薄毛以外にも、眼球突出、甲状腺の腫れ、頻脈(脈が速くなる)、動悸、体重減少(食欲は増進するにもかかわらず)、手の震え、多汗、暑がり、イライラ感、集中力の低下、疲労感などが挙げられます。これらの症状は個人差が大きく、全ての症状が現れるわけではありません。もし、原因不明の薄毛とともに、これらの全身症状がいくつか見られる場合は、バセドウ病などの甲状腺機能亢進症を疑い、内科や内分泌内科を受診することが重要です。診断は、血液検査で甲状腺ホルモン(FT3、FT4)や甲状腺刺激ホルモン(TSH)、自己抗体(TRAbなど)の値を調べることで行われます。バセドウ病と診断された場合、治療法としては、抗甲状腺薬による薬物療法、放射性ヨウ素内用療法、手術療法などがあります。適切な治療によって甲状腺ホルモンの値が正常化すれば、多くの場合、薄毛の症状も徐々に改善していくことが期待できます。ただし、髪の毛の成長サイクルには時間がかかるため、治療開始後すぐに効果が現れるわけではなく、数ヶ月から半年程度の期間が必要となることもあります。