「最近、髪の分け目が目立つようになった気がする」「髪を結んだ時の束が細くなった」と感じることはありませんか。もし心当たりがあるなら、それは「びまん性脱毛症」の初期サインかもしれません。男性の薄毛がいわゆるM字やO字のように局所的に進行し、最終的にはツルツルになってしまうことが多いのに対し、女性の薄毛の多くはこのびまん性脱毛症に分類されます。「びまん」とは医学用語で「広範囲に広がる」という意味を持ち、その名の通り、頭髪全体が均一に薄くなり、ボリュームダウンしていくのが最大の特徴です。特定の場所がハゲるわけではないため、初期段階では本人も気づきにくく、「なんとなくスタイリングが決まらない」「髪質が変わった」といった違和感として認識されることが多いのです。この症状の厄介な点は、明確な境界線がないことです。昨日の今日で急に薄くなるわけではなく、数年単位で徐々に進行するため、気づいた時にはかなり地肌が透けてしまっているというケースも珍しくありません。初期症状としては、抜け毛の増加が挙げられます。シャンプーの時の排水溝や、ドライヤー後の床に落ちる髪の量が以前より明らかに増えたと感じたら要注意です。また、髪一本一本が細く痩せてくる「軟毛化」も特徴的です。以前はハリやコシがあった髪が、フニャフニャと頼りなくなり、根元から立ち上がらなくなることで、頭頂部がペタンと平らに見えるようになります。びまん性脱毛症は、かつては中高年の女性特有の悩みとされてきましたが、近年では二〇代や三〇代の若い女性にも急増しています。これは、社会進出に伴うストレスの増加や、過度なダイエット、睡眠不足といった現代女性のライフスタイルの変化が大きく影響していると考えられています。男性のAGA(男性型脱毛症)が遺伝的要因や男性ホルモンの影響を強く受けるのに対し、女性のびまん性脱毛症は、加齢、ホルモンバランス、栄養状態、生活習慣、誤ったヘアケアなど、様々な要因が複雑に絡み合って発症する「多因子疾患」であると言えます。しかし、悲観する必要はありません。原因が多岐にわたるということは、裏を返せば、生活習慣を見直したり、適切なケアを行ったりすることで、改善の余地が大いにあるということです。男性の薄毛に比べて、女性のびまん性脱毛症は治療への反応が良いとも言われています。
女性を悩ませるびまん性脱毛症の正体と初期症状