薄毛や抜け毛が気になり始めると、多くの方が育毛剤や発毛剤に目を向けますが、それと同時に「トリートメント」の役割について、正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。巷には「薄毛に効く」と謳うトリートメントが溢れていますが、まず大前提として知っておくべきは、トリートメントは医薬品や医薬部外品ではなく、髪や頭皮を健やかに保つための「化粧品」であるということです。つまり、トリートメントだけで直接的に髪を生やしたり、抜け毛を完全に止めたりする効果は期待できません。では、薄毛対策においてトリートメントは無意味なのでしょうか。答えは「いいえ」です。トリートメントは、薄毛の悩みを解決するための直接的な治療薬ではありませんが、髪と頭皮のコンディションを整える「土壌作り」において、非常に重要な役割を担います。トリートメントは大きく二種類に分けられます。一つは、髪のダメージを補修し、手触りやツヤを良くする「ヘアトリートメント」。もう一つは、頭皮に潤いを与え、フケやかゆみを防ぎ、健やかな状態に保つ「スカルプトリートメント(頭皮用トリートメント)」です。薄毛対策で特に注目すべきは後者のスカルプトリートメントです。硬く乾燥した土壌では良い作物が育たないように、血行が悪く乾燥した頭皮では、健康な髪は育ちにくいのです。スカルプトリートメントは、この土壌である頭皮に栄養と潤いを与え、マッサージを伴うことで血行を促進し、髪が育ちやすい環境を整えるサポートをします。また、ヘアトリートメントも、今ある髪を保護し、ハリやコシを与えることで、髪全体のボリューム感をアップさせ、薄毛を目立たなくさせるという点で有効です。薄毛対策は、専門的な治療と並行して、日々の正しいヘアケアを積み重ねることが何よりも大切なのです。