プロペシアによる治療で満足のいく毛量を取り戻したとき、ふと頭をよぎるのが「もう薬をやめてもいいのではないか」という考えです。毎日の服用が面倒になったり、経済的な負担を減らしたくなったりする気持ちは理解できます。しかし、プロペシアはあくまでAGAの進行を抑える薬であり、体質そのものを根本的に変える薬ではありません。残念ながら、服用を中止すれば、体内のフィナステリド濃度は速やかに低下し、抑え込まれていた5アルファリダクターゼの働きが復活します。その結果、DHTの生成が再開され、ヘアサイクルは再び短縮を始めてしまいます。薬をやめたからといって、翌日にすべての髪が抜け落ちるわけではありません。しかし、数ヶ月から半年ほどの時間をかけて、薬を飲む前の状態、あるいは年齢相応に進行した状態へと確実に戻っていきます。これを「リバウンド」と呼びます。特に恐ろしいのは、薬で維持していた期間の分だけ、進行が一気に加速したように感じられることです。例えば、五年間薬を飲んでフサフサを維持していた人が薬をやめると、その後の短期間で「五年間何もしていなかった場合の状態」まで追いついてしまう可能性があります。せっかく時間とお金をかけて守ってきた髪が、服用中止によって水泡に帰してしまうのはあまりにも悲しい結末です。では、プロペシアは一生飲み続けなければならないのでしょうか。答えは、ご自身が「いつまで髪を保ちたいか」という価値観によります。もし、定年退職して結婚式も終わり、もう薄毛でも構わないと思える時期が来たなら、それが卒業のタイミングかもしれません。しかし、現役で働いている間や、若々しくありたいと願う間は、服用を継続する必要があります。急にゼロにするのが怖い場合は、医師と相談の上で、二日に一回の服用に減らしたり、より安価なジェネリック医薬品に切り替えたりして、維持療法へとシフトする方法もあります。重要なのは、自己判断で急にやめないことです。経済的な理由であればジェネリックへの変更を、副作用の懸念であれば減薬や外用薬への変更を検討できます。また、妊活のために一時休薬したい場合も、計画的に行う必要があります。プロペシアの効果は「継続」の上に成り立っています。
服用を中止するとどうなるかリバウンドの現実