第一子の出産を終えた高橋さん(31歳)が、自身の髪の異変に気づいたのは、産後3ヶ月ほど経った頃でした。シャンプーをするたびに、ごっそりと髪が抜け落ち、排水溝が真っ黒になる。授乳中にふと見下ろすと、床に自分の髪がたくさん落ちている。鏡を見れば、生え際や分け目の地肌が以前より目立つようになっていました。「産後脱毛」という言葉は知っていたものの、実際に我が身に起こると、そのショックは想像以上だったと言います。育児の疲れと睡眠不足、そしてホルモンバランスの急激な変化。心身ともに不安定な時期に、鏡に映る自分の姿がさらに追い討ちをかけ、気分は沈む一方でした。そんな時、同じく子育て中の友人から勧められたのが、敏感肌用のスカルプトリートメントでした。育毛剤を使うことには少し抵抗があった高橋さんですが、頭皮を保湿して環境を整えるというアプローチなら、と試してみることにしました。彼女が選んだのは、アルコールや香料が無添加で、天然の保湿成分を主体とした製品。お風呂の時間、赤ちゃんが眠っている束の間が、彼女にとって唯一のリラックスタイムでした。シャンプーの後、トリートメントを頭皮に馴染ませ、指の腹で優しくマッサージする。その5分間は、ただ髪のためだけでなく、疲れた自分を労わる大切な時間になったと言います。血行が良くなることで頭がすっきりし、心地よい香りに心も癒される。劇的に抜け毛が減ったわけではありませんでしたが、トリートメントを続けるうちに、頭皮の乾燥やかゆみが収まり、何より「自分をケアしている」という感覚が、高橋さんの心を少しずつ前向きにさせてくれました。半年ほど経つ頃には、抜け毛は次第に落ち着き、生え際から短い新しい毛がたくさん生えてきているのを発見。トリートメントは、髪を生やす魔法ではありません。しかし、産後という心身ともにデリケートな時期において、それは高橋さんの頭皮と心に潤いを与え、辛い時期を乗り越えるための、優しいお守りのような存在となったのです。