薄毛や抜け毛の悩みに対し、西洋医学的なアプローチとは異なる視点から注目されているのが、東洋医学に基づくツボ押しです。なぜ、体の特定の点を刺激することが、髪の健康に関係するのでしょうか。その根底には、東洋医学の基本的な考え方である「気・血・水(き・けつ・すい)」のバランスがあります。これらは生命活動を維持するための三つの要素であり、「気」は生命エネルギー、「血」は血液とその働き、「水」は血液以外の体液を指します。これらが体内を滞りなく巡ることで、私たちの健康は保たれています。髪の毛は、東洋医学では「血余(けつよ)」、つまり「血の余り」と考えられています。これは、体内の「血」が充実していて、その巡りが良ければ、髪にも十分に栄養が行き渡り、健やかに育つということを意味します。逆に、ストレスや疲労、栄養不足などで気・血・水の巡りが悪くなると、頭皮という「土壌」に栄養が届かなくなり、髪は細くなったり、抜けやすくなったりするのです。ツボ(経穴)とは、この気・血が流れる通路である「経絡(けいらく)」の上にある、いわばエネルギーの交差点のようなものです。この点を指で優しく刺激することで、滞っていた気や血の流れをスムーズにし、体全体のバランスを整えることができます。頭部だけでなく、手や足にあるツボを刺激することでも、巡り巡って頭皮の血行を促進させることが可能です。ツボ押しは、薬のような即効性はありませんが、副作用の心配が少なく、いつでもどこでも手軽に始められるセルフケアです。単に髪の問題として捉えるのではなく、体全体からのサインとして受け止め、その根本原因に働きかける。ツボ押しは、そんなホリスティックな薄毛対策への入り口と言えるでしょう。