プロペシアによる治療を検討している人や、すでに服用している人の間でまことしやかに囁かれるのが「耐性」の噂です。つまり、長く飲み続けていると体が薬に慣れてしまい、効果がなくなってくるのではないかという懸念です。抗生物質や睡眠薬などでは耐性が問題になることがありますが、プロペシアに関してはどうなのでしょうか。医学的な結論から申し上げますと、プロペシアに薬理学的な意味での耐性がつくことはないと考えられています。実際に、五年、十年と長期にわたって服用を続けている患者の追跡調査においても、効果が減弱して一気に薄毛が進行したという明確なデータは報告されていません。では、なぜ「最近効かなくなってきた気がする」と感じる人がいるのでしょうか。これには大きく分けて二つの理由が考えられます。一つ目は、AGAの進行力と薬の抑制力のバランスの変化です。AGAは進行性の症状であり、加齢とともにその勢いは自然と増していきます。若い頃はプロペシアの抑制力がAGAの勢いを上回っていても、年齢を重ねてAGAのパワーが強くなると、薬で抑えきれなくなり、じわじわと薄毛が進行してしまうことがあります。これは薬の効果が落ちた(耐性がついた)のではなく、敵の攻撃力が上がったためであり、もし薬を飲んでいなければもっと急激に進行していたはずです。二つ目は、目が慣れてしまうという心理的な要因です。服用を開始して一年ほどは、薄毛の状態から改善していくプロセスを目の当たりにするため、「効いている」という実感が湧きやすいものです。しかし、ある程度改善して状態が安定すると、それが「当たり前」になります。現状維持ができていることは薬が効き続けている証拠なのですが、劇的な変化がなくなると「効果が止まった」と錯覚してしまうのです。また、季節の変わり目の抜け毛や、体調不良による一時的な髪の不調を、薬の耐性のせいだと結びつけて不安になってしまうケースもあります。長期的な臨床データでは、プロペシアを五年間服用したグループの九割以上が、写真判定において「改善」または「不変(現状維持)」の結果を示しています。これは、五年経っても薬の効果が持続していることを強力に裏付けるものです。十年以上の服用者でも、多くの人が同年代の未治療者に比べて明らかに豊富な毛量を維持しています。
プロペシアに耐性はあるのか長期服用の真実