薄毛対策を謳うトリートメントのパッケージ裏を見ると、様々なカタカナの成分名が並んでいます。一体どの成分が、どのように髪や頭皮に良い影響を与えるのでしょうか。ここでは、代表的な有効成分をいくつか取り上げ、その働きを分かりやすく解説します。まず、スカルプ(頭皮用)トリートメントでよく見かけるのが「グリチルリチン酸ジカリウム(2K)」です。これは漢方薬の原料である甘草(カンゾウ)由来の成分で、優れた抗炎症作用を持ちます。頭皮の赤みやかゆみといった炎症を抑え、頭皮環境を健やかに整えることで、抜け毛の原因となるトラブルを防ぎます。次に、血行促進を目的として配合されるのが「センブリエキス」や「ニンジンエキス」です。これらは古くから育毛に良いとされる植物エキスで、頭皮の毛細血管の血流を促す働きがあります。髪の毛は、毛根にある毛母細胞が、血液から栄養を受け取って成長するため、血行を良くすることは非常に重要です。また、頭皮の乾燥を防ぐための「保湿成分」も欠かせません。「セラミド」「ヒアルロン酸」「コラーゲン」などがその代表格で、これらは頭皮の角質層の水分を保持し、バリア機能を高める役割を果たします。乾燥によるフケやかゆみを防ぎ、柔軟で健康な頭皮を保ちます。一方、ヘア(髪用)トリートメントで重要なのが、髪のダメージを補修する成分です。髪の主成分であるタンパク質に近い「加水分解ケラチン」や「加水分解シルク」は、ダメージによって流出してしまった髪の内部の栄養を補い、ハリやコシを与えます。また、「ヘマチン」は、カラーやパーマで髪に残ったアルカリを除去し、ダメージの進行を防ぐと共に、髪のケラチンと結合して強度を高める効果が期待できます。これらの成分の働きを少しでも理解することで、自分の悩みや目的に合ったトリートメントを、より的確に選ぶことができるようになるでしょう。
薄毛と戦うトリートメントの成分学入門