AGAの進行パターンには、頭頂部から薄くなるO字型と、額の生え際から後退していくM字型がありますが、一般的にプロペシアは頭頂部の薄毛に対してより高い効果を発揮しやすく、M字型にはやや効きにくいと言われることがあります。これは、前頭部と頭頂部で関与している5アルファリダクターゼの種類や分布、そして毛包の感受性が異なるためだという説があります。しかし、だからといって生え際にプロペシアが全く無意味かというと、決してそんなことはありません。多くの臨床例において、プロペシアはM字部分の進行を食い止め、産毛を増やす効果があることが確認されています。生え際の効果実感に時間がかかる理由の一つに、血管の分布の問題があります。頭頂部に比べて前頭部は血管が少なく、血流にのって運ばれる薬の有効成分や栄養素が届きにくい傾向にあります。また、生え際の毛根は一度死滅してしまうと(皮膚化してしまうと)、そこから新しい髪を生やすことは非常に困難です。プロペシアはあくまで今ある毛根を守り、活性化させる薬であるため、完全にツルツルになってしまったおでこから髪を生やす魔法ではありません。しかし、まだ産毛が残っている状態であれば、その産毛を太く長く成長させることで、生え際のラインを押し戻したり、透け感を改善したりすることは十分に可能です。M字ハゲに悩む人がプロペシアの効果を最大限に引き出すためには、ミノキシジルとの併用が推奨されることが多いです。プロペシアが「抜け毛を防ぐ守りの薬」であるのに対し、ミノキシジルは「血管を拡張し発毛を促す攻めの薬」です。特に血流の悪い生え際に対しては、ミノキシジルの外用薬(塗り薬)を併用することで、プロペシアの効果を補完し、より強力に発毛をサポートすることができます。実際に、プロペシア単独では現状維持が精一杯だった生え際が、ミノキシジルを加えることで明らかな発毛を見せたという症例は数多く存在します。結論として、プロペシアは生え際に対しても「進行遅延」という確実な効果を持っています。M字部分の後退をこれ以上進ませないためには、プロペシアの服用は必須のベースラインとなります。劇的にフサフサに回復させるのは難しい場所であることは事実ですが、服用をしなければ確実に後退していくのがAGAの怖いところです。
生え際のM字にもプロペシアは効果があるのか